集英社から刊行されていたコバルト文庫、恋愛を含めた読みやすい内容とほどよい文章の長さで、女子中高生の心をぐっと掴んでいた時期がありましたよね。
ちょうど昭和の後期から平成の初期にかけてです。
書店のある一角が、ズラーッと濃い目のピンクの背表紙で占められていて、電車の待ち時間や、友人との待ち合わせ時間までの間、そのエリアでつぶす時間さえも、とても楽しかった記憶です。
私の推し作家は、藤本ひとみ
今のようにネット社会ではない時代、藤本ひとみの新作が発売されていないか、頻繁に本屋を訪れては、コバルトライン(勝手に名付けていました)を端から端まで凝視し、そしてある日、新刊を見つけた時の嬉しさは、相当なものでした。
友人たちもそれぞれに購入、そこから内容について、あーだこーだと議論する、そんなお決まりの流れでした。
登場している推しのイケメンには幸せになってほしい、これ以上危険な目にあってほしくない!
その気持ちは、みんな同じでしたから。
別のシリーズの人物が突如登場し、どのような接点なのか、いつから知り合いなのか?
そしてキャラクターたちが、どのような経緯をたどって、それぞれ落ち着いていくのか?
推しイケメンは、最後は幸せになるのか?
など様々な謎を残したまま。
残念ながら藤本先生は、別のジャンルのお話の執筆に力を注いでいかれ、ある時期以降は、続きのお話は発売されていないようです。
よって読者側としては、未完のまま終わったような形になっています。
あんなに好きだったのに!あんなに登場人物に恋していたのに!ですよ。
どのシリーズが好きだった?
●まんが家マリナシリーズ
●銀バラシリーズ
●ららばいシリーズ
●KZシリーズ
●新花織シリーズ
●赤いモルダウシリーズ
私は、花織高校シリーズ、あっぷる神話からスタートし、その流れで花織高校バージョンを全て読破しました。
男前かつ御曹司で、頭脳明晰、スポーツ万能な男の子と、どこにでもいそうな女の子との恋愛が絡むお話が多かったように思います。
その当時のアイドルの男性は、短髪ヘアが主流だったので、肩まで髪を伸ばしている日本人の男の子が、とても魅力ある設定で書かれていることに、反対の意見も多かったようです。
まんが家マリナシリーズでは、私は登場人物に恋をしました。
並外れてIQが高い、フランスの男性、シャルル・ドゥ・アルディです。
このシリーズは、ほぼ新刊がでるたびに、新しい素敵な男性たちが登場し、読者の中でも派閥がくっきり分かれていて、ファンを沸かせていました。
銀のバラ騎士団シリーズは、中世からある秘密結社の総帥の座に若くして就いた男性と、それに絡むサスペンスのようなお話でしたね。
異世界で展開するファンタジー。
ららばいシリーズは、短編から成るお話で、これまたイケメンがたくさん登場する上、そのイケメンたちに好かれているのに、主人公の女の子がそれに気づかぬという、もどかしいお話が多かった印象です。
今では使うことがほぼない、不良を「つっぱり」と呼ぶ言葉。
大きな悪さは決してやらない、愛らしい「つっぱり」でした。
KZシリーズは、同じ学習塾に通うメンバーとのお話で、中高生向きというより、小学生向きのかわいい感じのお話でしたね。
実家に置きっぱなしだったこのシリーズは、姪っ子が高学年の時に読んでいました。
そして、新花織シリーズ。
恋愛要素たっぷりの、甘く切ないラブストーリーで、両思いで通じ合ってはいるが、親の再婚のために義理の姉と弟という関係に近いうちになる予定の二人が、最終どう着地するのかを楽しみにしていましたが、微妙な感じのまま終わっていて、その後のストーリーは自分で想像するしかない現状です。
赤いモルダウシリーズ、これも楽しいお話でした。
銀バラとの横展開があり、私の愛するシャルルがメインとなっていて、悲しいくらい続編が気になる部分で終わっています。
もしかしたら私は、このシリーズの続きを一番望んでいるかもしれません。
その他、コバルト文庫以外で、大人になったシャルルが登場する作品が発売されていたり、銀バラは終章なるものが出ていたり、KZシリーズも別の出版社からリメイクされたものが出ているようです。
ただ、それらにその後のお話が展開されているわけではなく、古くからの藤本ひとみファンにとっては、不完全燃焼極まる作品だそうです。
ご本人の執筆意欲に全ては委ねられますので、待つ以外に方法がないのが残念です。
今さらではあります。
当時の少女たちも初老に片足つっこみそうな年代です。
でも、あの頃のときめきを懐かしさと共にもう一度味わいたい。
簡単な形でもいいので、その後のお話を世の中に出していただけると嬉しいです。

